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「あの……さくらさん、ちょっと雑談してもいいですか?」 さくらの本業職場にて。 隣の係のOさんが、立ち話っぽく仕事の打ち合わせを終えた直後、おそるおそるそう切り出しました。今月初旬のことでしたでしょうか。 「えーとですね、夢の話なんですが……。今朝、私が見た夢の中に、さくらさんが出てきたんですよー」 「夢の中で、さくらさん、私を助けてくれたんですー。もう目覚めた瞬間、すっごく嬉しくて!」 「私が(夢の中で)車に乗っていたら、その車、停車していたのに坂を下り始めてしまったんですー」 「スピードはたいしたことなかったんですけれど、道を歩いていた数人の女子高生達に突っ込んでしまって、軽く当たってしまったんです」 「私が『どうしよう』ってオロオロしていたら、その場にさくらさんがいて『大丈夫よ』って言ってくれて、てきぱきと怪我人に声をかけたり救急車呼んだりしてくれてー」 「本当に嬉しかったんです! 夢の中のことだってわかっているんですけれど。ありがとうございました!」 ………………………………えーと。 Oさんが夢だと十分承知したうえで、ほとばしる感情を語っていることはわかりました。 とりあえず、正しい日本語を選んでみよう、うん。 さくら「いえいえ、私は何もしていませんよー」 Oさん「あ、そうそう。さくらさん、夢の中で女子高生でした!」 はう。 |
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