これは『帰宅部! GO HOME(2) 冒険は月曜日』(川嶋一洋/集英社スーパーダッシュ文庫)用に書かれたものの、ページ配分の関係で掲載されなかった後書きロングバージョンです。 (ページ配分が微妙だったため、4Pのロングバージョンと3Pのノーマルバージョンを用意し、ノーマルバージョンが採用されました) 「校正前のものですので、変な所があったらすみません」(from川嶋) |
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後書き 初めての人は初めまして。そうでない人はお久しぶりです。川嶋一洋です。 おかげさまで、『帰宅部! GO HOME』の第二巻をリリースすることが出来ました。 きっと遠流君も草葉の陰からこの本をながめ、涙を流して喜んでくれていることでしょう(殺すなって)。 遠流君のことはさておき。この本が完成して、私は涙が出るほど嬉しいです。 ほんと、書いている最中には色々とひどい話がありましたので(遠い目)。 遠流君の呪いなのかなぁ、やっぱり。とほほ。 …………。 あれは、修羅場を迎えたある日のことでした。 その日も、私はいつものように、作業用のMacG4の前で執筆していました。 目の前には大きな時計があり、否応なく時間を私に伝えます。日付は〆切当日です。 新しく到着したメールを開くと、『今日上がらないと出ませんよ』というメッセージが。 目の前の液晶画面に目をやると、まだ第五章が手つかずのまま丸々残っています。 こうなると、詰まってなんていられません。必死にキーを叩き、どんどんと書き進めます。 それでも全然終わりません。時計の針が進むのが目に入り、心臓がドキドキします。 タイムリミットは目前。必死に歯を食いしばり、五章を仕上げます。 でもまだ、APPENDIXが残っています。 そして最後の章に入った瞬間、携帯が鳴り−− ……夢から覚めました。 気が付くと、ベッドから飛び起き、大きく目を見開いた状態で携帯を掴んでいました。全身汗だくでした。自分が仮眠を取っていたことを思い出したのは、少し経ってからです。それまでの間、何が起きたのか分からず、呆然と周囲を見回していました。 起きてから私は、……夢の中で終わらせた章の執筆を始めました。本当にひどい話です。 え? 何がひどいんだって? 必死になって書き上げた章を、もう一度頭から書くんですよ? あんなに追いつめられて、それでも歯を食いしばって必死に書いたのに……。 え? 何ですか、その顔は。まだ何かあります? 『修羅場の時に、必死に第五章を書く夢を見た?』 ええ、確かに。 『そして、夢から覚めてから、手つかずだった五章をもう一度書いた?』 え、ええ、確かに。書きましたとも。涙を流しながら書きましたとも。 『つまりそれって、修羅場に突入した段階で、まだ第五章が手つかず……』 な、ななななな、何のことでしょう。 『ひどい話もあったもんだ……』 ……すみません、オチがついてしまいました(汗) でもまあ、小説を書く夢を見ていて、起きて画面を見たら本当に書いてあった時も困りましたが。執筆用Macの前で意識を失うと、時々小人さんが帰宅部を代筆してくれるのですが、小人さんは日本語が不自由らしく、不思議な文章を書いてくれるのです。 「めけらぽけああ」 あかねのこのセリフは、いつか解読したいと思っています。 それが終わったら、 「こうのさんたらもう」 と紅美が言った『こうのさん』が誰なのか、調べてみたいところです。 小人さんはインスピレーションを刺激してくれるので素敵です。 まあ、色々ありましたが、本が出れば、どれもこれもどいつもこいつも全ていい思い出です。いい思い出です。いい思い出です。本当ですってば(汗) 最後に謝辞を。 スーパーダッシュ文庫で担当して下さった丸宝様、細かいチェックを入れてくれた宍戸様、担当編集として無理をして頂いたムーンエイジ稲垣様、そして今回もとても素敵なキャラクター(特に表紙の紅美は逸品!)を描いて下さった久坂宗次様。ありがとうございます。 そして今回も影の校正役としてチェックを入れてくれた『代表取り締まる役』さくら嬢と、色々とお手数をおかけした(?)戸村係長にも感謝を。 最後に。本を買って下さったあなた、ありがとうございます。……立ち読みしているあなた、先にお礼を言っておきますから、どうかレジへ連れていってやってくださいね。 それでは、機会がありましたら、またお会いしましょう。 川嶋一洋 拝 |